壁装とは、壁に和紙を下貼りし、上貼りに鳥の子紙や布などを張ること(貼り付け壁)で、襖絵などは(障壁画)と言います。
壁装には、主に「洋間のビニールクロス貼り」、「壁への和紙貼りや茶室の腰貼り」、「寺院の本殿への金紙貼り」などがあります。
生活様式が洋風化された昨今では、リビングルームや廊下にはビニールクロスを貼ってあるのが一般的でしょう。値段も安価で、柄や色合いも多岐にわたっています。和紙風のビニールクロスもあります。貼り替えも簡単にでき、お部屋のイメージチェンジになります。
今、見直されつつあるのが「壁面への和紙貼り」でしょう。和紙はビニールクロスに比べて高価ですが、柔らかい風合いで目にも優しく、お部屋の空気の清浄や湿度の調整にも効果があり、またエコロジーという観点からも好まれる方が増えています。
この「壁面への和紙貼り」や「天井への和紙貼り」は、「ビニールクロスなど、ベタ貼りで仕上げられる安価な壁紙」とは異なる方法で貼らねばならず、和紙を専門的に扱う表具師の技術が必要となります。
ビニールクロスなどは、合板(下地)に接着材などで直接貼って仕上げられますが、壁面へ和紙を貼るには、生麩糊などデンプン系の糊を使用し、「1.目貼り→2.下浮け→3.上浮け→上張りの工程(施工価格や下地、上貼り紙によって作業内容は変化します)」で作業が進められます。
この方法を応用すれば、漆喰壁や聚楽壁の上でも上質な和紙貼りに仕上げることが可能で、和紙本来のふんわりとした柔らかさを壁面に表現することができます。
張替のため、壁紙を剥がした下地(コンパネ)
手漉き楮紙での「袋張り」
雲肌鳥の子紙を張って仕上げ
寺院の本殿などへの金箔押紙貼りも表具師の仕事です。先ほどの「壁面への和紙貼り」同様、目貼り~上張りの工程で行ないます。また、和紙に比べて金箔押紙は、下地の凹凸が出やすく、より高度な技術と下張り材料の選定が必要となります。
金箔押紙貼りは、一般のお家向きとは言えませんが、金箔押紙と言っても色々あります。輝きの鈍い箔や色の変わった箔もありますので、部分的に張ってみるのも面白いかもしれません。もちろん、金閣寺のように本金箔で煌びやかに飾るのも自由です。
下地を綺麗にならします。
手漉き楮紙での「袋張り」
金の紙は下地の影響を受けやすいため、袋張りの回数も多めにします。
金の紙を張り込んでゆきます。
張り込んだ紙を上から当て紙をして綺麗に伸ばします。